「急ぎで部品を作りたいけど、どこに頼んだらいいかわからない」 「試作品を1個だけ作りたいが、大手メーカーには断られた」 「複雑な形状の小物部品を短納期で加工してもらいたい」
このような悩みを抱える方々から、榊原工機は「機械部品加工の駆け込み寺的存在」と呼ばれています。愛知県春日井市にある当社が、なぜこれほど多くのお客様に頼りにされているのでしょうか。
その答えは、「考えて動く多能工エンジニア」の存在にあります。彼らが持つ深い知識、幅広いスキル、そして何よりも「ものづくりをクリエイティブにする」という情熱が、他社では実現できない柔軟な小ロット生産を可能にしているのです。
今回は、榊原工機の多能工エンジニアが、いかにして複雑かつ多様な小ロット生産の課題を解決し、お客様に常にベストパフォーマンスを提供しているのか、その舞台裏を詳しくご紹介します。
「頭を旋盤のように高速回転」させるクリエイティブな思考プロセス
榊原工機のものづくりは、お客様から部品製作の依頼があった瞬間に始まります。しかし、私たちが最初に行うのは、一般的な工場が従うような決まりきった手順ではありません。
「頭を旋盤のように高速回転させてベストな加工法を考える」という、ゼロベースからのクリエイティブな思考プロセスが始まるのです。
材料選定から始まる創造的なアプローチ
お客様から図面をいただいたとき、多能工エンジニアの頭の中では、まず最初の問いが投げかけられます。
「材料は角から削ろうか、丸から削ろうか」
この一見シンプルな選択の裏には、ものづくりの効率と品質を左右する深い洞察が隠されています。
角材からの削り出しを選択する場合、部品が直方体に近い形状であったり、複数の面を同時に加工する必要がある時に有効です。一方で、丸棒からの加工は、円筒形状の部品や回転体の加工において最も効率的で、材料ロスを最小限に抑えることができます。
例えば、先日お客様からご依頼いただいた医療機器の小さなブラケット部品のケースをご紹介しましょう。この部品は複雑な曲線を持ちながらも、基本的には平面的な形状でした。
一般的には角材からの削り出しを選択するところですが、私たちのエンジニアは材料の歩留まり率と加工時間を計算し、意外にも丸棒からのアプローチを提案しました。結果的に、材料コストを30%削減しながら、加工時間も短縮することができたのです。
設備状況に応じた柔軟な機械選定
材料の選定に続いて考えるべきは、使用する機械です。
「5軸か複合加工機なら穴加工まで1台でできるけど、あいにく今日は2台とも埋まっている」
このような状況は、小ロット生産の現場では日常茶飯事です。しかし、榊原工機の多能工エンジニアは、決してここで思考を止めません。
5軸加工機や複合加工機は、複雑な形状の部品を一回の段取りで多面加工できるため、理想的な設備です。しかし、これらの機械が使用中でも、私たちには豊富な選択肢があります。
榊原工機は、バリエーション豊かな設備群を誇ります。マシニング加工機、NC旋盤、ワイヤーカットなどの精密加工機を完備しているため、一台の機械に固執することなく、複数の道具を組み合わせて最適な加工パスを再構築することができるのです。
「特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」
このような判断は、複数の機械の特性と現在の稼働状況を瞬時に把握し、最適な組み合わせを導き出す多能工ならではの思考です。
工程設計の緻密さが品質を決定する
材料と機械の選定が完了すると、いよいよ具体的な工程設計に入ります。
「では、どの順番で削るのがベストだろうか。固定治具は?プログラムは?」
この段階で求められるのは、熟練の技術と豊富な経験です。
加工順序の最適化は、特に重要な要素です。どの面を最初に加工し、次にどこを削るか。熱による変形、切削抵抗、工具の摩耗、そして最終的な精度を考慮し、最も安定して高精度に加工できる順序を組み立てます。
薄肉部品や複雑な形状では、加工順序一つで品質が大きく左右されるため、多能工エンジニアの経験と知見が特に重要になります。
固定治具の工夫も欠かせません。加工中に部品が動いてしまっては、どれほど高精度な機械を使っても意味がありません。部品の形状、材質、加工箇所に合わせて最適な固定方法を考案し、時には専用治具を自社で設計・製作することもあります。
NCプログラムは、加工の「設計図」そのものです。多能工エンジニアは、効率的で工具への負担が少なく、不良品を出さないプログラムを自ら作成します。これには深い専門知識と長年の経験が必要不可欠です。
多能工エンジニアが生み出すシナジー効果
榊原工機のクリエイティブな思考プロセスを支えているのは、「考えて動く多能工のエンジニア」たちの確かなスキルと豊富な経験です。彼らは単に指示された作業をこなすだけでなく、自ら考え、判断し、実行できる高い能力を持っています。
複数の加工技術に精通する強み
榊原工機のエンジニアは、「旋盤、マシニング、ワイヤー加工が特に得意」とされており、複数の加工技術に精通していることが大きな特徴です。
この「多能工」であることは、小ロット生産の現場で絶大な威力を発揮します。
例えば、マシニング加工中に予期せぬ問題が発生した場合を考えてみましょう。特定の加工技術に特化したエンジニアであれば、その解決策もマシニングの範囲内でしか考えられないかもしれません。
しかし、多能工のエンジニアは、ワイヤー加工や旋盤加工といった別の手段の可能性も視野に入れ、より柔軟な解決策を導き出すことができます。
先日、自動車部品メーカー様からご依頼いただいた事例をご紹介します。複雑な内部形状を持つハウジング部品の加工中、従来の方法では精度が出ないという問題が発生しました。
マシニング一筋のエンジニアであれば、工具や切削条件の変更で対応しようとするところです。しかし、私たちの多能工エンジニアは、一部の加工をワイヤーカットに変更することを提案しました。
結果的に、より高い精度を実現しながら、加工時間も短縮することができました。このように、多角的な視点から問題を捉えることで、お客様の期待を超える解決策を提供できるのです。
工程間の最適化がもたらす品質向上
小ロット生産では、一つの部品が複数の機械を経て完成することも珍しくありません。多能工のエンジニアは、次の工程でどのような加工が行われるかを理解しているため、前工程の加工方法を最適化し、全体としての効率と品質を高めることができます。
例えば、旋盤で荒削りしたものをマシニングで仕上げる際、旋盤での加工をどこまで行うか、その後のマシニングでどのような影響が出るかを事前に予測し、最適な工程設計を行います。
この工程間の連携により、加工精度の向上、工期の短縮、そしてコスト削減を同時に実現できるのです。
材質を問わない対応力と深い専門知識
「精密切削加工のプロ」として、榊原工機のエンジニアは「材質を問わず様々な加工に対応」しています。金属(ステンレス、真鍮など)から樹脂に至るまで、幅広い材料の特性を熟知していることは、クリエイティブなものづくりにおいて不可欠です。
材料によって硬度、熱伝導率、粘り強さ、溶融温度などが異なり、それぞれに最適な切削工具、切削条件、そしてクーラント(冷却液)が存在します。
多能工のエンジニアは、これらの知識を総動員し、材料の特性を最大限に活かしながら、工具寿命を延ばし、高精度な加工を実現します。
例えば、粘り気の強いステンレスと、脆性の高い鋳鉄では、全く異なる切削条件が求められます。ステンレスの場合は切削熱の管理が重要になり、適切なクーラントの使用と送り速度の調整が必要です。一方、鋳鉄では切りくずの処理と振動の抑制に注意を払わなければなりません。
「焼入れ鋼に追加工は可能?」といった難易度の高い加工依頼に対しても、私たちは常に挑戦を恐れません。これは、深い知識と経験に裏打ちされた自信があるからこそ可能なことです。
他社が断るような案件でも、榊原工機では解決の道を探り続けます。実際に、硬度HRC60の焼入れ鋼に精密な穴加工を施した実績もあります。
バリエーション豊かな設備群が実現する柔軟性
「考えて動く多能工エンジニア」の能力は、それを最大限に引き出す「バリエーション豊かな設備群」の存在があってこそ、真価を発揮します。
榊原工機は、最新鋭の設備から汎用性の高い機械までをバランス良く取り揃えることで、あらゆる小ロット生産のニーズに対応できる基盤を築いています。
最新設備が可能にする高度な加工
榊原工機は、「柔軟な小ロット生産を実現しているバリエーション豊かな設備群」を保有しており、その中には「5軸、複合加工機、ワイヤーカットなど」が含まれます。
5軸加工機や複合加工機は、複雑な形状の部品を一回の段取りで多面加工できるため、加工精度を高め、工期を短縮します。これらの最先端設備は、多能工エンジニアのクリエイティブな発想を具現化するための強力なツールとなります。
例えば、自社製品である高級ゴルフパター「SAKAKI PUTTER」は、この5軸加工技術から生まれたものです。そのデザイン哲学と削り出しのこだわりは、設備の能力を最大限に引き出した結果と言えるでしょう。
ワイヤーカットなどの精密加工機も完備しており、微細な加工や高精度が求められる部品にも対応可能です。これにより、加工できる部品の幅が広がり、より複雑で創造的な設計の部品にも挑戦できます。
戦略的な設備配置が生む対応力
これらの設備がバランス良く揃っていることで、たとえ特定の機械が埋まっていても、他の機械を組み合わせて最適な加工パスを構築できる柔軟性が生まれます。
これは、クリエイティブな思考が「できる」と判断した時に、それを実現するための選択肢が豊富にあることを意味し、結果として「特急対応」の実現にも繋がります。
実際に、大手メーカー様から「明日の朝一番に必要」という緊急依頼を受けた際、通常であれば使用する5軸加工機が他の案件で稼働中でした。しかし、マシニングセンタと旋盤を組み合わせた工程を瞬時に組み立て、夜間作業も含めて対応し、翌朝には完成品をお渡しすることができました。
「手のひらサイズ」への特化がもたらす専門性
榊原工機は、「手のひらサイズ」の部品を中心に、「小物部品なら何でも加工OK!」として、金属も樹脂も相談可能としています。
この得意分野への特化も、柔軟な小ロット生産を実現する上で重要な要素です。
特定のサイズ帯に特化することで、そのサイズの部品に最適な加工技術、治具、ノウハウを深く蓄積できます。これにより、より複雑な形状や高い精度が求められる小物部品に対しても、効率的かつ高品質な加工が可能となります。
「手のひらサイズ」の部品は、医療機器、電子機器、精密機械、航空宇宙産業、あるいはガレージブランドのオリジナル製品など、多岐にわたる業界で必要とされます。
この特化により、多様な顧客からの小ロット・試作依頼に対応できる強みを持っています。
信頼を築くコミュニケーションと顧客サポート
榊原工機が柔軟な小ロット生産を実現できる背景には、技術力や設備だけでなく、お客様との密なコミュニケーションと、その課題に真摯に向き合う姿勢があります。
私たちは、単なる加工業者ではなく、お客様の「ものづくりパートナー」として機能することを目指しています。
「駆け込み寺」と呼ばれる理由
榊原工機は、お客様から「機械部品加工の駆け込み寺的存在」と呼ばれることがあります。これは、他社で「加工に困った」「納期に困った」といった難題に直面した際に、最後に頼れる存在として認識されている証拠です。
「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」
この評価は、私たちが単に加工を引き受けるだけでなく、お客様の抱える問題を包括的に理解し、その解決までをサポートする能力を持っていることを示しています。
試作開発の段階で発生しがちな予期せぬトラブルや仕様変更に対しても、柔軟かつ迅速に対応できるのは、多能工エンジニアの総合的な問題解決能力があってこそです。
先日も、ベンチャー企業様から「設計図面に不備があることが加工途中で判明した」というご相談をいただきました。通常であれば設計のやり直しから再加工となり、大幅な工期延長は避けられません。
しかし、私たちのエンジニアは、加工途中の状態を活かしながら設計変更に対応する方法を提案し、最小限の工期延長で完成させることができました。
品質への徹底的なこだわり
品質に対する揺るぎないコミットメントも、お客様からの信頼を得る重要な要素です。
不良品を絶対にお客様にお渡ししないという方針のもと、厳格な品質管理を行っています。特に試作品においては、後の量産に繋がる重要な信頼性の基礎となります。
多能工エンジニアは、自身のスキルと経験を駆使して不良品を未然に防ぎ、万が一発生した場合でも、その原因を深く掘り下げて再発防止に努めます。
この品質への徹底的なこだわりが、お客様との長期的な信頼関係を築く基盤となっています。
お客様との密な対話を重視
小ロット生産や試作において、お客様との密なコミュニケーションは成功の鍵です。榊原工機は、この点においても独自の強みを持っています。
「もしも、お急ぎの場合は社長はお話し好きなのでメールで返信を待つより、電話して事情を説明することをお勧めします」
このメッセージは、形式にとらわれず、直接的な対話を通じてお客様の緊急性と要望を正確に把握しようとする、誠実なアプローチを示しています。
この姿勢が、迅速かつ柔軟な対応に繋がり、お客様の期待を超えるソリューションを提供することを可能にしています。
また、ウェブサイトには「プロに聞きました」シリーズとして、「急ぎで部品加工を発注するときのコツ」や「発注担当者必読!見積依頼のコツと部品加工の見積内訳を徹底解説」、「部品調達における品質認識のギャップ解消法」、さらには「マシニング・旋盤・5軸加工機のリアルなトラブル事例」など、お客様が抱えやすい疑問や課題に対する具体的な情報を豊富に掲載しています。
この proactive な情報提供を通じて、お客様の不安を軽減し、よりスムーズなものづくりプロセスを築くための取り組みを行っています。
ものづくり文化が育む創造性
榊原工機が「少量・試作」に強く、多能工エンジニアが柔軟な生産を実現できる背景には、私たちのユニークなものづくり文化と職場環境も大きく影響しています。
「工場に見えない町工場」という独特の環境
榊原工機の工場は、「ホームセンターとお風呂屋さんに挟まれたところにある工場に見えない町工場」と表現されるほど、従来の工場イメージとは一線を画しています。
「木のぬくもりと緑にあふれた『あたたかい町工場』」として、2階の事務所も「木の温もりを感じる」空間となっています。
「階段下のピンポンを押して頂き、2階の事務所へ是非どうぞお越し下さい。たまに黒猫のノア君もいます」
このような案内は、お客様にとっても親しみやすく、気軽に相談しやすい雰囲気を醸成しています。
この「工場っぽくない」環境は、従業員にリラックスした雰囲気を提供し、固定観念にとらわれない自由な発想や創造性を育む土壌となっています。
少量・試作のような創造性と問題解決能力が強く求められる分野では、このような環境が、エンジニアたちのクリエイティブな思考を刺激し、新しい加工法のアイデアや、困難な課題に対するユニークな解決策を生み出すきっかけになっています。
自社製品開発への挑戦が技術力を向上させる
榊原工機が自社製品として高級ゴルフパター「SAKAKI PUTTER」を開発・製造していることや、「SAKAKI Gear(自社製品)」を展開していることは、私たち自身のものづくりへの強いコミットメントと、高い技術力を示すものです。
このような自社での挑戦を通じて培われたノウハウやクリエイティブな発想は、お客様の試作開発支援にも惜しみなく提供されます。
自社製品の開発過程では、設計から加工、組み立て、品質管理まで、すべての工程を自分たちで手がけます。この経験により、お客様の製品開発における課題や要求を、より深く理解することができるのです。
ガレージブランドも全力でサポート
大企業だけでなく、「ガレージブランド・個人ブランド」の試作開発も全力でサポートする姿勢は、榊原工機が「ものづくり」の可能性を広げ、新たな価値創造に貢献しようとする意思の表れです。
アイデアはあっても技術的な壁にぶつかるお客様に対し、多能工エンジニアの知識と経験を活かして、最適な材料選定から加工法、さらにはデザインのアドバイスまで行い、共に製品を形にしていきます。
これは、まさしく私たちのクリエイティブなものづくり哲学の具現化と言えるでしょう。
小さなアイデアでも、それを形にすることで大きな価値を生み出す可能性があります。私たちは、そのような挑戦を支援することに大きなやりがいを感じています。
まとめ:多能工エンジニアが切り拓く未来のものづくり
有限会社榊原工機が実現する柔軟な小ロット生産の舞台裏には、単なる機械や設備だけではない、多角的な要素が複雑に絡み合っています。
その中心にいるのは、まさに「考えて動く多能工エンジニア」たちです。
彼らは、お客様からの依頼に対し、「頭を旋盤のように高速回転」させ、材料の選定から機械の組み合わせ、加工順序、治具の工夫、NCプログラムの作成に至るまで、あらゆる工程で最適な解をクリエイティブに探求します。
旋盤、マシニング、ワイヤー加工といった複数の加工技術に精通し、材質を問わず対応できる深い知識と経験は、彼らの思考を具体的な形にする強力な武器となります。
さらに、5軸加工機や複合加工機を含む「バリエーション豊かな設備群」が、その思考とスキルを最大限に引き出す物理的基盤となり、「機械部品加工の駆け込み寺」と呼ばれるほどの信頼性と、お客様との密なコミュニケーションが、この柔軟な生産体制を支えています。
そして、「工場に見えない町工場」というユニークな環境が、エンジニアたちの創造性を育み、ものづくりへの情熱を掻き立てる要因となっています。
榊原工機は、これらの要素が一体となることで、単に図面通りに部品を加工するのではなく、お客様の「こんな部品できる?」という問いに対し、常に「ベストパフォーマンスで応える」ことを追求しています。
私たちの「考えて動く多能工エンジニア」が実現する柔軟な小ロット生産は、まさに未来のものづくりの可能性を切り拓く、クリエイティブな挑戦の連続です。
もし、あなたが難易度の高い試作や小ロット部品加工でお困りであれば、ぜひ榊原工機にご相談ください。きっと新たなものづくりの地平が開かれるはずです。
私たちは、お客様の「できるかな?」を「できました!」に変えることを使命として、今日も頭を高速回転させて、最適な加工法を考え続けています。

